四季の短歌 2
短歌の無断転用は、原則禁止とします。
まだら美の色あざやかに杜鵑草花いつも触手のように伸び
ひかり落ち花絡み逢う秋桜の東慶寺朝まだ二人きり
ぶらぶらと上りし坂の洋館は住み人わかる味がするよう
黒蝶がふらふらと寄り曼珠沙華秋は東慶寺の時迅し
野鳥飛び百日紅咲く川辺には初夏の翡翠を狙いし人も
唐きびを売りし翁の初雪草我が磊落の夏はじまりて
向日葵が咲き始むころ空ふかく今年も長閑色透きとほり
梅雨晴れの半夏生みて仰ぎみるそら三渓の三重塔
夏兆す朝の河原をゆきゆけば香にながるるはブオブオの蛙
コロコロと鈴なり美人すれ違い鎌倉の路ふと振り返り
山ノ手の外人墓地のブラフから海を眺めて春ながれ舞い
木蓮や外人墓地へゆく道はブラフの春をのぼりのぼりて
結婚三十八年の日は花菜いつもの二人春日和なり
木蓮の花はらはらと散りしころ今亡きひと何故か思い出し
人生の六十七を手ぶらにし身軽に生きて春たちにけり
木蓮の花咲く頃に故郷は雪舞い降りて白銀世界