四季の短歌 1
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岐れ路友が眠りし報国寺真夏の笑顔いと懐かしき
秋の朝ピィ音残し翡翠はパッと消え飛び川面をすべり
音がして深閑のなか振り向けば人ひとりなくただ竹の春
色合いと緻密なかたちなり難しファインダ越しの花に教わる
初夏の河ブォウヴォウと牛蛙草深き水山河恋しく
水無月や過の日生享け逝きし共に生いたつ家無く望郷
下北の駅降り立てば深甚と潮の香りに人眺めたり
七十の拓郎うたい夏がきて若き想いもまたよみがえり
釜臥の山みる丘へ行きゆけば皆ねむり我今日も生きゆく
長谷の夏地蔵ふたりに手を合わせ君は黙して祈りは深く
浴衣着て上りしふたりアジサイロード眼下にみゆるうねうつくしき
文月に花はまた咲き散りゆきぬ来る文月も花はまた咲き
鶴翔の想いは遠くに飛び立ちて明治のこころ今は懐かし
夏が来てまた咲き誇るアガパンサス君嫋やかに歳て変わらじ
長谷の寺アジサイ花は騒がしく仏の像に身心静なる
初夏のそら文学館のつたえゆく先人の道想いゆかしむ