夏の写句 4
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老練の蝉声ひびき姿消ゆ
夏の朝いのち短し花式部
蝉殻のロープに縋る夏の朝
しがみつく抜け殻ひとつ蝉しぐれ
老年の夏蒸しかえすオニヤンマ
合歓木の初夏の湿月黒き天
嫁いりて妻嬉しくて夏至の雨
息上がり半僧坊は夏の山
ざわざわと風追い駆ける夏の雨
風鈴や風よぶように音きこゆ
妻はまだ夕げに摘めり茗荷の子
紫陽花の抜けて薄闇妙本寺
薄日にもしぶとくのびしはなつるそう
朝焼けの静かにさして水面かな
虫鳴きてぽつりぽつりと灸花
夏灼くるいま眩耀の竹の央
夏旺ん花もうなだる残滓かな
茎紺の白をも染めし茄子の花
夏暁や心地よき陰猫すべり