四季の短歌 3
短歌の無断転用は、原則禁止とします。
なが雨の傷の痛みに雨音がシトシトひびく初夏の湿月
生還のいちとし過ぎし君の笑は頬和らぎて夏を待つらん
ありふれた喧噪過ぎし九春に平成の御代静かにおわり
ふるさとの釜臥山の麓たつ墓標をおもい令和をむかえ
春や夫婦四十年早過ぎて令和の御代も君のピースで
春待ちて梅咲く池の畔にて竦む青鷺も春待つらん
陽向路の木瓜の花さく年の瀬をそろりと歩く君に乾杯
朝顔は夏季に目覚める花ならず秋を彩るただ花となり
送り火の妻の手をとり家に入り妻は静かに母の手をとり
ねぶた見に来しことありし遠き日はいま亡き父母と姉弟と
文月の熱き大気に風そよぎ九日の日に君生還せり
桜咲き彼岸が明ける愛猫に妻が捧げる椿一輪
足踏みて雪の小川の水清き今日は初登校の水芭蕉
睦月雪しんしんと梅うもれても今日は68祝い酒の夜や
白幟を越えて上りし茅葺堂古き御像に暫し息を吐き
ねんねこの背の子温もり感じつつ冷たい冬日梅の花が咲き